レビー小体型認知症

3大認知症の1つで大脳皮質に「レビー小体」ができ、発症する

高齢社会において、認知症は大きな社会問題となっています。従来は、「アルツハイマー型認知症」と「脳血管性認知症」の2つが、認知症の大半を占めると考えられていました。しかし、最近は「レビー小体型認知症」も多いことがわかってきており、この3つを「3大認知症」 と呼んでいます。

3大認知症の種類

  1. アルツハイマー型認知症
  2. 認知症全体の半数を占めます。脳に「アミロイド」の沈着がみられます。大脳の神経細胞が障害されて、脳が萎縮します。

  3. 脳血管性認知症…
  4. 「脳血管障害」によるものです。自覚症状のない、小さな脳梗塞の多発が原因になることもあります。認知症全体の約20% を占めています。

  5. レビー小体型認知症
  6. 大脳などに、「レピー小体」ができて起こります。認知症の約20% を占めるといわれています。

レビー小体型認知症が起こる仕組み

レビー小体型認知症は、どのようにして起こるのでしょうか。この病気を発見した人は「たんばく質の一種であるレビー小体が、脳の大脳皮質などにできて神経細胞を障害することで、この病気が発症するといわれています。レビー小体型認知症になると、手足の筋肉がこわばるなどの、『パーキンソン症状』が現れることがあります。パーキンソン病では脳幹部にレビー小体ができることがわかっており、2つの病気は関係があると考えられます。幻視などの精神症状の前に、パーキンソン症状だけが出る場合もあります。

患者の傾向

レビー小体型認知症の患者さんに多いのは、50歳代以降の人です。まれに、若い人に発症するケースもあります。男性に多く、ん性格はまじめで几帳面、特に趣味がなく、仕事熱心なタイプによくみられるといわれています。

記憶障害のほかに幻想やパーキンソン症状が現れる

認知症の症状というと、もの忘れなどの記憶障害のイメージがありますが、レビー小体型認知症には、次の特徴があります。

  • 幻想
    意識がはっきりしているときに、現実感のある幻視が現れます。例えば「赤い服を着た女の子が座っている」 「10人くらいの人がこちらを見ている」など、具体性を帯びているのが特徴です。
  • パーキンソン症状
    筋肉のこわばりや手足の震えなどを伴うことがあります。
  • 症状の変動
    「昨日は調子が悪かったが、今日はよい」など、症状が日によって変動します。特に、注意力などの認知機能が変動することが多いようです。
  • アルツハイマー型認知症はもの忘れなどの記憶障害が中心ですが、レビー小体型認知症は初期に幻視などが現れます。記憶障害はありますが、アルツハイマー型認知症ほど強くありません。

  • その他の症状
    「夜、寝ているときに暴れる」などの症状が現れることがあります。これを「レム睡眠行動異常」といいます。レム睡眠とは、夢を見ているときの浅い眠りのことです。レム睡眠中に体が勝手に動き、家族に暴力をふるったりすることもあります。また、「起立性低血圧、尿失禁、便秘」などの「自律神経症状」が現れることもあります。これは、パーキンソン病でもよくみられる症状です。

認知症の中でも難しくトラブルになりやすい

レビー小体型認知症の国際的な診断基準は、90年代半ばにはできていましたが、日本で注目されるようになったのはごくごく最近です。そのため、この病気についての十分な知識をもたない医師も少なくありません。「この病気は、初期のうちから幻想が現れ、問題となる行動を起こすことがよくあります。そのため、早めに医療機関を受診する患者さんも多いのですが、画像検査では脳に目立った萎縮や梗塞がみられないため、認知症ではないと診断されるケースもあるようです。家族は原因がわからず、問題となる行動への積極的な対策もとれないまま、途方に暮れてしまいがちです。早い投階での正確な診断と治療が何より重要なのです。

診断と治療

レビー小体型認知症は、早期に治療を開始することで、介護する家族の負担を軽減することができます。「以前と違うような気がする」 と感じたときが、受診のタイミングです。「もの忘れ外来」や精神科など、専門の医師がいる診療科を選ぶとよいでしょう。「患者さんのご家族には、どういうことでいつもと違うと感じたのか、それがいつだったのかを話していただけると、診断に役立ちます。もの忘れや幻視などの精神症状でも、動きが鈍くなったというような身体症状でも、おかしいと感じたことがあったら問診時に医師に伝えます。

レビー小体型認知症を見極めるには

この病気の可能性がある場合には、医師は「幻視やそれに伴う問題行動の有無」「日によって症状が変動するか」といった、レビー小体型認知症に特徴的な症状をまず尋ねます。このほかにも、さまざまな質問から得られた患者さんの状態や認知機能テストの結果を総合的に診て、この病気を診断します。
画像検査は必須ではありませんが、診断の裏づけや早期発見のために、MRIやCTなどの画像検査が行われることがあります。これは 脳の萎縮を調べます。レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症より萎縮の程度が軽いことが多く、両者を見分けるのに役立ちます。
また、レレビー小体型認知症では、心臓の筋肉にも特徴的な症状がみられるため、「心筋シンチグラフィー」という検査で、心筋の代謝の状態を調べることもあります。

治療は主に薬物療法

認知症の症状は、適切な薬物療法によって、ある程度進行が抑えられることが明らかになっています。レビー小体型認知症の場合も、幻視やもの忘れなどの精神症状や、問題となる行動を薬で改善することができます。治療は、早期に始めるほどよいといわれます。

  • 塩酸ドネペジル(アリセプト)
  • 認知症では、脳内の神経伝達物質である「アセチルコリン」が大幅に減少します。塩酸ドネペジルは、アセチルコリンを分解する酵素の働きを抑え、脳内のアセチルコリンを増やします。主にアルツハイマー型認知症の治療に使われますが、レビー小体型認知症にも効果があります。主な副作用として、「吐き気、食欲不振」などがあります。

  • 抗精神病薬
  • 比較的副作用の少ない、「非定型抗精神病薬」が少量使われます。

幻想などの改善に効果がありますが、使用には細心の注意が必要です。薬物療法では、まず塩酸ドネペジルを使い、それで十分な効果が得られないときに漢方薬や抗精神病薬を加えるというように、薬を段階的に使用します。「塩酸ドネペジルは、アルツハイマー型認知症には健康保険が適用されますが、レビー小体型認知症には適用されません。
しかし、レビー小体型認知症には、アルツハイマー型認知症を併せもつ患者さんも多く、その場合は健康保険が適用されます。また、非定型抗精神病薬も健康保険適用外ですが、使わざるをえないのが現状です。「L ドーパ」などのパーキンソン病の治療薬が処方されます。

薬に過剰に反応することがある

レビー小体型認知症は、少量の薬にも敏感に反応するという特徴があります。そのため、症状が著しく改善することもあれば、効きすぎてかえって悪化することもあります。特に、抗精神病薬は、適切に投与されないと、精神症状や身体症状が悪化してしていて、認知症とは思えないような状態なのに、翌日には何を聞いても要領を得ない、ということもあるのです。症状が変動することを知らずにいると、介護する家族は患者さんの症状に振り回されて、疲れ切ってしまいます。症状に対する正しい認識をもち、その変動に一喜一憂しないことが大切です。

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レビー小体型認知症」への2件のフィードバック

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