若い人に増加しつつあるアルツハイマー病はアルミニウムが原因?

高齢化がどんどん進む日本で、アルツハイマー病にかかるお年寄りが急増中。現在、65歳以上の高齢者の10% に認知症が見られ、その60~70 % はアルツハイマー病といわれている。40~50代の若年性アルツハイマー病も増えている。なぜ、アルツハイマー病になるのか。その一因として「アルミニウムの摂取が影響を及ぼす」と、「アルミ犯人説」が広く流布したことがある。

アルミ犯人説のルーツ

今日ではアルミがアルツハイマー病の発症に関与していると考える研究者はほとんどいません。アルミ鍋やアルミ缶、アルミホイルなども全く心配ありません。長年アルツハイマー病を研究してきている専門家がそう言い切っています。では、どうしてアルミ犯人説が広まってしまったのでしょうか。そのルーツをたどると、大きく言って つの説にたどりつきます。

ルーツその1 は米国で1960年代に行われたウサギの実験です。ウサギの脳にアルミを注射したら、脳のなかに繊維状の塊ができ、それがアルツハイマー病の原因物質とされました。ところが、のちに塊はアルツハイマーとは関係ないことが明らかになりました。

ルーツその2 は70年代、米国の腎臓透析の患者が脳障害を発症し、その原因として水道水や薬剤に含まれるアルミが疑われたことです。しかし、これも「濡れ衣」であることがのちに証明されました。

ルーツその3は89年の「飲料水中のアルミ濃度とアルツハイマー病発生率の間には相関関係がある」とする英国研究者の発表でした。これは調査対象者の年齢など統計解析のベースがずさんであることが判明、学説としては通用しないと報じられました。このように、3つのルーツはいずれもその後、全否定されています。

しかし、アルミ犯人説は新聞をはじめとするマスメディアが大きく伝えるのに対し、アルミ無罪説は、学会発表のレベルにとどまり、メディアはほとんど報道しません。そのため、一般市民の目に触れる機会は少なく、犯人説が世の中一般に生き残ってしまいました。
アルミ犯人説のおかげで、過去には、アルミ鍋のメーカーがバタバタつぶれたといった風評被害まで出ています。よく似た出来事として、ダイオキシン騒動があります。今ではダイオキシンは無害とされていますが、騒動の最中、ダイオキシンの濃度が高いとされた埼玉県のある地域の野菜は全く売れずに野菜農家は大変な被害を被りました。
そして、今でも、ダイオキシンは有害と思い込んでいる人が少なくないのです。常に科学は進化します。ある時点での知見が、時を経て、過ちであったと立証される例は多数あります。常に、最新の情報を的確にキャッチできる高感度のアンテナを持ちたいところです。

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