冬にひどくなる老人性皮膚掻痒症は、夏もケアを間違えると痒い

皮膚のかゆみはつらく本当にストレスです。かゆいからかくとなおさらかゆみが増し、ひっかくと症状が悪化します。かさぶたが治る時にまた痒くなります。。多くの高齢者が悩まされているかゆみの撃退法についていです。

皮膚が乾燥すると外からの刺激に敏感になる

70歳以上では、実に半数以上の人が、かゆみに悩まされているというデータがあります。特に冬は症状がひどくなりがちです。
「高齢者のかゆみ対策」について、第l人者のレクチャーを受けました。かゆいところに手の届くようなお対策はあるのでしょうか?

加齢によりかゆみがひどくなる原因について

70歳以上になってあらわれる皮膚の痒みは、皮膚の老化現象です。皮膚にかゆみだけがあって、発疹などひふの病変はなにも認められない状態を「皮膚掻痒症」といいますが、それがお年寄りに起こったものを「老人性皮膚掻痒症」と呼んでいます。

原因は皮膚の乾燥です。健常な皮膚にはしっとりと潤いを保つ機能が備わっているのですが、加齢により、その機能が低下してくるために皮膚が乾燥しやすくなるのです。特に冬期間は乾燥も加わりより乾燥してしまいます。

皮膚の潤いは、主に3つの物質皮脂、角質細胞間脂質、天然保湿因子で保たれていますが、加齢に伴って皮脂の分泌が減少し、天然保湿因子が弾力性を失い、角質細胞問脂質もへってきます。

そのため、皮膚の表面(表皮) の「角質層」から水分が失われ、皮膚がカサカサになってきます。お年寄りの皮膚の角質水分量は、若い人の半分程度です。

角質細胞間脂質とは、どんなものなの?

表皮でつくられる脂質で「セラミド」ともいいます。表皮はいくつかの層に分かれていますが、そのうち表面に最も近い角質層の細胞(角質細胞)のすきまを埋めて、細胞と細胞の聞から水分が蒸発するのを防いでいます。セラミドがへると、角質細胞の問にすきまができ、水分が逃げやすくなります。

天然保湿因子

角質細胞に含まれる物質で、水を蓄えて膨らみ、皮膚に潤いと柔軟性を与えます。皮膚が老化すると、天然保湿因子は弾力性を失い、ペチャンコにつぶれた状態になるので、角質細胞内に蓄えられる水分量がへります。

皮脂

表皮の奥にある「皮脂腺」から分泌される脂肪で、汗などと混じり合い、皮脂膜をつくり、皮膚の表面を覆って、水分の蒸発を防いでくれます。皮脂の分泌がへると、皮脂膜が薄くなり、皮膚の表面から水分が蒸発しやすくなります。

老化現象イコール乾燥の過程

皮膚が乾燥すると、体の外からの刺激にとても敏感になるのです。普通の人の2分の1、場合によっては10分の1の弱い刺激でもかゆく感じるようになります。

いちばんかゆくなりやすい部位

背中、腹など、人によってさまざまですが、最も症状が現れやすいのは、外気の影響を受けやすい腕や脚などで、特に冬には症状が悪化する傾向があり、冬期掻痺症ともいわれます。足のすねの部分が痒くなる人が多いように感じます。

冬、かゆみが増悪する原因は2つあります。1つは、低温低湿のため乾燥肌になりやすいことで、もう1つは、生理的に皮膚の新陳代謝の機能が落ちて発汗(水分)や皮脂の分泌がへってくることです。そのうえ、お年寄りの場合は、今お話ししたような皮膚の老人性変化が加わります。そこへもってきて、お年寄りはどうしても厚着をしますし、部屋を暖房し、こたつに入るので、さらにどんどん水分が蒸発してかゆくなり、かゆいからひっかき、かき破って傷ができます。皮脂欠乏性湿疹といいます。高齢の方だけでなく若い人でもこの時期は痒みが強くなります。

保湿剤の軟膏、クリーム、□ーションの違

入浴すると非常に痒くなります。
血流がよくなるのは、血管が拡張して、血管からかゆみを引き起こす物質が出るからです。お湯の温度が高すぎると、よけい出やすいので、40度程度のぬるま湯が適当です。おふろに入って温まった後、すぐ布団に入ると、かゆみが強くなるはずです。少し時間をおいて布団に入ったほうがいいんでしょう。

掻きはじめると止まらない

通常、かゆみの情報を伝える末梢神経は、表皮の下の真皮の中にあるのですが、ひっかくと、表皮の細胞から神経を呼び寄せる物質が分泌されて、神経が表皮内に入り込んできますだから、かけばかくほどかゆくなるんです。

この物質については、神経成長因子(ナーヴ・グロース・ファクター=NGF)といいます。かゆいからかくと、表皮内に神経が入る。神経が刺激を受けると、なおさらかゆみが増すので、ひっかく。すると炎症、湿疹がよけいひどくなる。

この悪循環を「かゆみの三角形」といいます。老人性皮膚掻痒症は、基本的にはかゆみだけで、皮膚はカサカサに乾燥して、湿疹はないのですが、強いかゆみのためにかき続けていると、皮脂欠乏性湿疹になります。冬にできやすいので、冬期湿疹ともいいます。

防ぐには

皮膚の乾燥が、かゆみの原因なのですから、治療の基本は、乾燥を防ぐことです。水仕事の後などは、すぐハンドクリームを塗ったほうがいいので、そうしたスキンケアを怠ると、皮膚がどんどん荒れてきて、湿疹になってしまいます。

皮膚の乾燥を防ぐためには

保湿剤を使います。皮膚の脂保湿成分が足りないのですから、そういう性質、作用を持つものを外から補ってやればいいわけです。皮膚がジクジクしていない段階では、市販の保湿剤で対処できます。保湿剤の成分としては、尿素(最もよく使われる保湿成分で、天然保湿因子と水分が結合するのを助け、角質層をやわらかくする作用がある。「尿素入りクリーム」や「尿素軟膏」はよく効く)、セラミド(角質細胞問脂質の主成分で、保湿だけでなく、異物の侵入を防ぐ働きもある)、コラーゲン(皮膚の表面に膜をつくり、水分を逃がさないようにする)、ガンマ・オリザノール(米ぬかから抽出された成分で、皮脂の分泌を高める) などがあります。
特におすすめなのがアトピー性皮膚炎の方用に開発されたスキンケア商品があります。
美肌精油ジェルといいますが、ボディーソープ、整皮ジェル、保湿クリームの3点セットになったケア商品です。
アトピーの方が使うものですから皮膚のためにはとても優しく安心して使用できます。
医師が開発したスキンケア商品ですから安心です。
アトピーだけでなく主婦湿疹や老人性の乾燥肌トラブルにも利用できるように作られています。

クリームと軟膏はどう違う?

保湿剤には軟膏、クリーム、ローションと3つのタイプがあります。軟膏は皮膚を保護する効果が高く、皮膚を刺激することも少ないので、どんな皮膚の病気、湿疹の状態でも使えます。難点は、べたつきが強いことです。

クリームは、皮膚への浸透性が高く、成分によっては刺激性があるので、ジクジクして赤くただれているようなところには向きません。肌荒れがひどい場合は、まず軟膏で症状を改善させてからクリーム、ローションへ切り替えるのも1つの方法です。

ローションは、皮膚に対する浸透性も高く、さらっとしているので、頭皮など毛のある部位にも使いやすいのですが、効果は軟膏、クリームに比べて落ちます。

人によっては、保湿剤に刺激を感じることがありますので、塗ってみて、効果がない、ヒリヒリする、赤くなるといったことがあったら、使うのをやめて医師に相談してください。ひじの部分に塗ってみてテスターを行ってから使ったほうがいいでしょう。

また、皮脂欠乏性湿疹は、保湿剤ではなかなか治りにくいので、抗炎症作用のある「ステロイド系の外用薬」を短期間用い、炎症が治まったら保湿剤を使います。

塗り方

塗り方としては、ただ厚く塗ればいいということではなくて、指先で薄く伸ばして、少し光る程度がいいんです。皮膚が傷んでいますから、あまり強くすり込まないようにします。症状が改善しても完全に治っていないことも多いので、{日己判断でやめてしまわないことが大切です。保湿剤は、皮膚の状態が完全によくなるまで使い続けるようにします。

かゆみが強くイライラが止まらない場合は

かゆみをおさえるには「抗ヒスタミン薬」や「抗アレルギー薬」を使います。かゆみをおさえるには「抗ヒスタミン薬」や「抗アレルギー薬」を使います。

「抗ヒスタミン薬」や「抗アレルギー薬」の違いは

ヒスタミンというのは、かゆみなどを起こす成分で、マスト細胞(肥満細胞)から放出されます。抗ヒスタミン薬は、マスト細胞から出てしまったヒスタミンを中和し、抗アレルギー薬は、マスト細胞からヒスタミンが放出されるのをおさえます。今の抗アレルギー薬には抗ヒスタミン作用を持つものも多いようです。

注意しなければならないのは、抗ヒスタミン薬を飲むと、尿の出が悪くなることです。前立腺肥大症(膀胱の下面にあるクリの実大の臓器、前立腺が肥大する病気)の男性が用いると、排尿障害を悪化させやすい。もう1つ、抗ヒスタミン薬には眼圧(眼球内の圧力)を上げる働きもあり、緑内障(眼圧が高くなって視野が狭くなる病気) の患者さんの服用は禁忌です。

抗アレルギー薬

抗アレルギー薬にはそうした作用はありませんが、今いったように抗ヒスタミン薬を含んでいるものがありますので、注意しなければいけません。

抗ヒスタミン薬を飲むと、頭がボーッとするの

眠気が起こることも多いようです。抗ヒスタミン薬の中枢神経抑制作壮用のせいです。特に、車を運転する人は気をつけなければいけません。抗ヒスタミン薬を飲んだときは、運転は止めるべきです。
また、お年寄りは、すでにいろんな薬を飲んでおられることも多いですからね。いくつかの薬を飲むことで、好ましくない作用が出てくる薬の相互作用を考える必要もあります。
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ストレスで痒くなるのは?

ストレスを受けると、神経のところからニューロ・ペブタイドという神経物質が出て、それがマスト細胞などの機能を活発にして、ヒスタミンなどが放出され、かゆみが起きます。実際のメカニズムは、もっと複雑なんですが、簡単に説明すればそういうことになります。ストレスというのは、円形脱毛症やニキビ、じんましんなどにも関係します。これらはすべて、神経とマスト細胞の影響を受けることがわかってきました。だから、神経、免疫、ホルモンというのは、別々のものではなくて、密接なネッワークを組んでいるんです。

日常生活で注意する点

老人性皮膚掻痒症を治す・防ぐための日常生活のポイントは、大きく分けて2つあります。1つは「皮膚の乾燥を防ぐこと」で、もう1つは「かゆみを生じさせる要因を取り除くこと」です。

まず入浴時にナイロンタオルなどで体をゴシゴシ洗わないことです。皮膚を洗いすぎると、皮脂や角質層が失われ、皮膚の水分が逃げやすくなります。界面活性剤の入ったボディソープは洗浄力が高く、皮膚の脂質まで落としがちです。成分が皮膚に残ると、刺激因子となりますから、じゅうぶんに洗い流してください。

皮膚の乾燥のひどい人は、低刺激性の石けんを選ぶとか、石けんで全身を洗うのは2~3日に1回にするといった配慮も必要です。

おふろから上がったら、素早く体をふきます。ぬれたままにしておくと、どんどん水分が蒸発して、皮膚の水分まで失われます。入浴後の皮膚はふやけていますから、強くこすらず、バスタオルで水分を吸い取るようにします。

そして、皮膚がしっとりしているうちに保湿剤を塗ると効果的です。

あとは、部屋の乾燥を防ぐことです。冬に暖房は欠かせませんが、エアコンなどの暖房器具を五時問使い続けると、室内の湿度は30% 以下に低下するといわれています。湿度が30% を切ると、皮膚の水分が蒸発しやすくなります。
夏のエアコンも同様です。

長時間、暖房をつけたままにしない、温度設定を高くしすぎない、ときどき窓を開けて外の湿気を入れる、室内にぬれたタオルを干す、お湯を張った洗面器を置く、加湿器を使うなど、室内の湿度を高める工夫をしてください。

痒みを生じさせる原因

かゆみを生じさせる要因としては

  1. 皮膚を掻く
  2. 刺激のある肌着
  3. 汗をかくこと
  4. 飲酒

などが代表的です。
かゆみは、かけばかくほど強くなります。つめは短く切り、保湿剤やかゆみ止めを適切に使って、かゆみ対策をします。

痒みを防ぐ肌着

ウールやけばだった化学繊維は、肌を刺激し、かゆみを引き起こす原因になります。皮膚に直凄触れる下着類は、刺激が少なく、保湿性のある木綿素材のものがいいでしょう。ただし、木綿でもデニム地のようにゴワゴワとして皮膚をこするものはかゆみを起こしやすい。要注意です。

また、柔軟仕上げ剤を使うと、衣類の肌触りはよくなりますが、繊維に薬品が残ると、それが皮膚を刺激することになりかねません。柔軟仕上げ剤や漂白剤を使う場合は、すすぎの回数をふやし、成分が衣類に残らないようにしましょう。

汗は、皮膚を刺激し、かゆみの原因になります。汗をかくほど厚着をせず、周囲の温度に応じて、こまめに脱いだり着たりするようにします。も.つとも、汗をかかないようにと、家の中に閉じこもって、全然、運動しないのも問題です。自分の体力に合った運動をして、汗をかいたら、すぐふき取る。シャワーを浴びて、着替えをする。そして、保湿剤を塗るようにすればいいと思います。

アルコール

アルコールを飲むと、血管が拡張して、体が温まり、かゆみが増します。なるべく控えたほうがよろしいでしょう。

食べ物

かゆみを誘発するような食べ物は控えたほうがいいでしょう。サバ、サケ、マグロ、タラなどはヒスタミンに似た物質を含んでいるため、食べるとかゆくなることがあります。香辛料も体を温めて、かゆみを引き起こすことがあります。

食生活では、バランスの取れた食事を心がけることが基本になりますが、皮膚の関係では、ビタミンA、E、B2は、皮膚の乾燥を防ぎ、皮膚の細胞を再生させるのに重要です。ビタミンAはレバー、卵黄、ウナギ、緑黄色野菜、かんきつ類などに、ビタミンEは穀類、胚芽油、綿実油、豆類、緑黄色野菜に、ビタミンB2はサバ、カレイ、牛乳、納豆などに、それぞれ豊富に含まれています。

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